Adobe Summit 2019 速報レポート DAY 1 : Business Transformation through CXM

2019年3月26日

Day1 Keynoteセッション “Business Transformation through CXM" を紹介文から事前予想

ここ数年Adobe Summitでのキーワードは2017年の"Experience Business"、2018年の"Experience Maker"と、"experience"に主眼が置かれていました。提供するサービスもユーザーエクスペリエンスを最適化するためのソリューションとして設計されています。

Join Adobe Chairman and CEO Shantanu Narayen and CTO and EVP Abhay Parasnis with executives from Best Buy, Chegg, Intuit, SunTrust Bank, and more, as they discuss how companies can transform their business through the power of customer experience management (CXM). The opening general session will include demonstrations on how organizations can harness Adobe Experience Cloud and its vast partner ecosystem to keep pace with increasing customer expectations, empower employees to become Experience Makers, and drive business growth. We’ll share never-before-seen tech innovations in AI, mixed reality, and real-time data management as well as new integrations and capabilities across Adobe Experience Cloud.

https://summit.adobe.com/na/summit-online/

世の中的も様々なコンサルティング会社がデジタルトランスフォーメーションを標榜し、企業のデジタル化、デジタル化した世界に適応するための変革の必要性を叫んでいます。

今年のAdobe Summit初日のKeynoteセッションは、カスタマーエクスペリエンスマネジメントを通じた「ビジネストランスメーション」という表題が掲げられています。デジタルトランスフォーメーションではなく、ビジネストランスメーションということで、Adobeの目線の高さが伺えます。

Adobe Experience Cloudの主要サービスは、アクセス解析(AA)、ターゲティングツール(AT)、CMS(AEM)などWebサイト運用のためのツールですが、Adobeが見据えているのは単にWebマーケティングがどうこうではなく、全く新しい顧客体験を作り上げるには企業変革の必要性であり、そのための最良のパートナーがAdobeというのがSummitを通じてのメッセージになることは想像に難くありません。

昨年のAdobe SummitやAdobe MAXではAdobe Senseiの活用が全面に押し出されていましたが、今年のSummitではAIに加えてこれまた昨年からよく耳にするようになったMR(mixed reality)などの新しいテクノロジーとAdobe Experience Cloudの統合が紹介されそうですね。

ビジネス変革を実践した各企業からのゲストがどんなストーリーを共有してくれるのかも含めて、どんな内容になるのか楽しみですね。

Keynoteセッションの模様は日本からでもオンラインでリアルタイム視聴が可能です。

Adobeのインサイダーである安西さんも事前考察の投稿をしていますのでご紹介します。
Adobe SUMMIT 2019:イベント前にCXMについて考える

ゼネラルセッションレポート “DAY 1 : Business Transformation through CXM"

Adobe Experience Platformで実現するCXM(カスタマーエクスペリエンスマネジメント)

Adobe Summitの冒頭に姿を現したのは例年通りAdobeのCEOのシャンタヌ ナラヤン。今年は世界中から17,000人の参加者が集まったことや、こんにちのビジネスシーンにおけるエクスペリエンスの重要性が語られるなど例年通りのスタート。

その後、フォトショップなどのパッケージソフトウェア販売からサブスクリプションモデルへの変革というAdobe自身のビジネスの変化、顧客との関係性の変化、そしてデジタル変革に触れます。

ビジネスモデルの変化にあわせ、Adobeは顧客を中心に据えた組織やオペレーションに変化してきました。そして新しいデータドリブンオペレーションモデル(DDOM)を生み出しました。ここでシャンタヌ ナラヤンは、MicrosoftのPowerBIで作られた実際に社内で使っているDDOMのダッシュボードを披露します(これにはAdobe社内のひとも、それ見せちゃうの?というような反応だったらしいです)。

Adobeのようにデジタル変革をするには、企業の根本にある思想から変えるようなビジネスシステムの変革が必要で、パーソナライズされた顧客体験がカスタマージャーニーのあらゆる接点で期待を超えるものでないと、激しい競争の中では勝ち残れないと語られます。しかし「素晴らしい体験」というのは言うは易しで、実際にそれを実現するには、古い社内システムやサイロ化した組織、実行能力の欠如など、現実には多くの企業にとって困難がたくさんあります。

そこでAdobeの出番です、とシャンタヌ ナラヤンはアピールします(そりゃそうですよね)。Adobeはこのために、イノベーションを追求し、研究開発を続け、他の企業とのパートナーシップを構築したと語ります。それがAIであるAdobe Senseiであり、それがデジタルデータを活用するためのプラットフォームであるAdobe Experience Platformであると。

ここで、実際にAdobeとともにデジタル変革を成し遂げた企業であるベストバイのCEOヒューバート ジョリーが紹介されます。

アマゾンに殺されかけたベストバイの復活

続きも頑張って書いてます、、、Coming Soon…

B2Bはアカウントベースドエクスペリエンス(ABX)の追求

Coming Soon…

Adobe Experience Cloudは4つの柱に

Coming Soon…

Adobe Experience PlatformとAdobe Sensei

Coming Soon…

まとめ

開始前に気になっていたポイントは下記の通りです。

  • ソリューションのラインナップ変更やリブランディングはあるか?
  • Adobe Senseiのさらなる進化はあるか?
  • MRなど新しいテクノロジーとどのようにコラボレーションするか?
  • Brad Rencher不在のAdobe Summitの雰囲気はどうか?

しかし、実際にセッションが終わって一番印象に残ったのは、最初に紹介された事例がデジタルではなくタンジブル世界の実店舗主体だったベストバイだったことです。Webやアプリがビジネスの中心である企業ではなく、ベストバイのようなリテール企業がアマゾンエフェクト(Amazonが参入した業界の他の企業が突然死を遂げる現象)を自身のデジタル変革を通じて生き延びたというのは、今日の企業戦略における希望でもあり、同時に相当な覚悟と投資を行わければそのようなことを実現できないという厳しい現実でもあります。

Adobe SummitがあるたびにAdobeのソリューションはリブランディングが行われてきました。今年はMarketoやMagentoのがAdobe Experience Cloudのラインナップに加わり、MagentoがAdobe Commerce Cloudとなったくらいで大きな変化はないように見えます(もっとも、eコマースのプラットフォームをソリューションに加えたことは、スイートサービスとしては非常に大きいこととも言えます)。しかしその裏では、Experience PlatformがExperience Cloudの根幹をAdobe Senseiとともに支えるようになるなど、大きな変化が垣間見えます。

今回のセッションではMR(Mixed Reality)とのコラボレーションはありませんでしたが(一応あればMRといえるの、、かな?)、スマホを使ったVRでの新しいショッピング体験のデモが示されるなど、新しい顧客体験の可能性を示しました。2年前のAdobe Summitでは、レジに入れてそのまま商品を持ち出せば自動的に決済されるという新しいショッピング体験のデモンストレーションがありましたが、このような未来はもう間近かもしれません。実店舗に存在する商品を個人の好みで簡単に見つけられるようになるなど、タンジブルな世界でのパーソナライズされたデジタル体験が実現しつつあります。

わたしがOmniture / Adobeに関わるようになってから常にリーダーとして顔役をつとめてきたBrad RencherがいないはじめてのSummitでしたが、CTOのアベイ パラスニスや元Marketo CEOのスティーブ ルーカスなどがその不在を感じさせませんでした。というとちょっと褒め過ぎですかね。やっぱりBradには華がありましたね。

3日間のSummitを通じてこのゼネラルセッションで触れられた内容の具体的な話が聞けることを楽しみにしています。そして明日明後日のキーノート/ゼネラルセッションの内容も楽しみです。