Adobe Summit 2020 ハイライト 1 : Adobe CEO keynote speech

2020年4月1日

AdobeのCEO、Shantanu Narayenの「史上初のバーチャルAdobe Summitへようこそ」という挨拶から始まった2020年のAdobe Summit。例年ラスベガスで行われているAodbe Summitですが、今年は世界的なCOVID-19(新型コロナウイルス)の大流行により、急遽(他の大規模テクノロジーイベント同様)オンラインイベントでの実施となりました。

2020年のAdobe Summitはすべてオンライン(オンデマンドビデオ)で視聴可能です。日本語字幕もついています(一部除く)。
https://www.adobe.com/summit.html

デジタルはさらに重要に

カリフォルニアの自宅で収録されたビデオメッセージの中で、NarayenはCOVID-19によって社会が大きく変化したことを取り上げ、こんにちは前例のない時代である点が指摘されました。しかし、一方でデジタルはさらに重要になっていることに触れ、みなさんを支援して業界を変革し、テクノロジーで世界を前進させることにAdobeのテクノロジーを役立てたいと語ります。

さらに、デジタルはわれわれの生活を大きく変えているだけでなく経済をドライブしているが、これまでデジタルの世界で消費者の動向を測定する方法はなかった点を指摘します。

EコマースプラットフォームやWeb計測ツールを提供するAdobeは、さまざまな小売業者の数兆にもおよぶトランザクションを集計したデータにアクス可能であり、これまでもホリデーシーズンレポートでeコマースでのショッピング動向を高い精度で予測してきました。

デジタル経済指標

そうした成功を基盤にしたグローバルなデジタル経済をリアルタイムで評価・予測する経済指標「DEI(デジタル経済指標)」を発表しました。

これは第一線のエコノミストや官公庁とパートナーを組んで開発したもので、COVID-19の影響でeコマースの売上はアメリカで25%、イギリスで33%伸びているというリアルタイムの経済指標が示されます。

さらに食料品に限って言えば週次で倍増している点、また3月に入りホームフィットネス機器の購入が増加している点など、マクロのトレンドだけでなく、細かい動向も把握可能な点が紹介されました。

NarayenはDEIによって企業はビジネスをリアルタイムでグローバルなトレンドに適応させることができると語ります。

CMOとCIOが連携する時代

次にデジタル変革について触れ、Adobe自身のデジタル変革の体験や他のビジネスリーダー達の意見から明らかになったいくつかの重要なテーマが紹介されます。

その重要なテーマのひとつが人々は製品ではなく体験を買うことです。

この前提にたち、顧客を理解し求めるものを必要なタイミングで提供することが重要ですが、これは「言うは易し、行うは難し」だと語ります。

こうしたことを実現するには、コンテンツと人工知能を融合させ、説得力のあるパーソナライズが必要です。つまり美しいだけでなく、インテリジェントな設計が必要となります。システムを顧客中心に設計することが必要であり、それはつまり組織のあり方を変える必要があります。

Adobeが発見した最も成功しているデジタルビジネスの共通点はCOIとCMOの強力なパートナーシップだとNarayenは語ります。

マーケティングとコミュニケーションの専門家でカスタマージャーニーへの深い洞察を持つCMOと、データを統合するシステムを構築しビジネスを発展させるCIO、以前は限定的だったお互いの関わり方が変わりつつあるといいます。

こんにちのマーケティングは顧客中心かつデータドリブンになってきているため、最も優れた企業のリーダーたちは密接に連携しており、最高のCMOとCIOのパートナーシップによって企業は魅力的な顧客体験を提供することができると述べます。

しかし、多くの企業は、異なるシステムのデータやプロセスをつなぎ合わせることに苦労しており、そうした非生産的、非効率的なプロセスや、時代遅れのインフラでは最先端の顧客体験の実現はできないと指摘します。

常にデジタル革命の中心にいることがAdobeの戦略であり、AdobeはB2B、B2C問わず、カスタマージャーニー全体を統合するための包括的なスイートサービスを提供しています。これらは、最新のデジタルビジネスのために構築されたプラットフォームであるといいます。そして、最新のAdobe Experience CloudとAdobe Experience Platformについてのイノベーションをこのバーチャルサミットを通じて紹介すると予告します。

デジタル変革の青写真「CXMプレイブック」

Narayenはデジタルトランスフォーメーションにはテクノロジーだけでなく、人とプロセス、企業内での新しいDNAが必要だといいます。

そして過去のAdobe自身のデジタルトランスフォーメーションの実践での学びなどを活かして、製品やプラットフォーム、人材にいたるまでの重要な領域に関する青写真を示した「カスタマー・エクスペリエンス・マネジメント(CXM)プレイブック」の提供開始を発表します。

デジタルトランスフォーメーションはあらゆる企業にとって必須事項であり、そのためにはCXMに重点を置く必要があります。そしてそれを実現するためには、統合されたアプリケーションとサービス、適切な人材と的確なプロセスを組み合わせることが不可欠です。また、幅広くオープンなエコシステムと創造性と顧客中心型の文化が組織全体が必要だと指摘します。

こうした中で成功を収めるためには、プラットフォーム、製品、パートナー、人材を統合して、自社の状況に合わせた独自のプレイブックが必要だといいます。このCXMプレイブックを用いることで、企業はデジタルトランスフォーメーションのアクションにつながる具体的な計画を手に入れることができます。

変化は継続的なものであり、その変化は加速するばかりで、そうした中でデジタル変革を支援できるのはAdobeだけです、とNarayenは話を括ります。

そして、最後にAodbeのデジタルエクスペリエンス部門のトップの新リーダーとして迎えたAnli Chakravarthyを紹介し、彼にCXMプレイブックの紹介のバトンを渡します。

2020年のAdobe Summitはすべてオンライン(オンデマンドビデオ)で視聴可能です。日本語字幕もついています(一部除く)。
https://www.adobe.com/summit.html

(「Adobe Summit 2020 ハイライト 2 : CXMプレイブック」に続く)